恋に恋する

ディナーを食べながら話をする。

2人で向かい合ってゆっくりご飯を食べるなんて、いつぶりかしら?
そんなことを考える。

「今日はありがとう。とっても楽しかった。」
「こちらこそ。」

今日のデートでわかったこと。
やっぱり彼は私を愛してくれている。
だからこそ、あの日の微笑みが気になる……

「ねぇ。この前会社の近くのカフェで見かけたんだけど。あのときなにを話してたの?」
「ん?」
「女の人に微笑んでた。」
「あぁ。美海、いたんなら声かけてくれたらよかったのに。」
「いい雰囲気だったから、邪魔しちゃ悪いかと思って。」

彼が笑い出す。
「やきもち?」
「違うっ!!気になっただけ。」

「美海の話をしてたんだよ。」
「私の話?」
「デートの計画は順調ですか?ってからかわれてた。」

なんだ。そうだったんだ。
安心した。

「今日のデートはお気に召したでしょうか?」
おどけたように彼がきいてくる。

「えぇ。とても。」

昔のきもちを思い出した。

はじめて手を繋いだ時のドキドキ感。
彼の笑顔にときめいたこと。
頭を撫でる優しい手。

今では当たり前になったことも、
はじめはドキドキして死んじゃうんじゃないかと、思ってた。

彼はいつも、私をときめかせてくれていたから。
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