恋に恋する


ディナーのあと、甲板で2人で並んで夜景を見る。

「きれい。今日はつれてきてくれてありがとう。ごはんもとってもおいしかった。」
「どういたしまして。」
かれが優しく笑う。
心が、優しい気持ちで満たされていく……
「私たち、大人になったね。」
「あぁ。」

「これ。」
雅樹がかばんから紺色の細長い箱を取り出す。
中にはプラチナのネックレスが入っていた。

「ちょっと早いけど、俺たちの付き合って15周年。
いつもありがとう。これからもよろしく。」
彼が照れ臭そうに微笑む。

あぁ、ずるい。昔からその笑顔に弱いんだ。
視界が滲む。

「ありがとう。こちらこそ、これからもよろしくね。」
「美海、愛してる」

そっと抱き締められた………


彼にときめくことなんて、もう無いと思ってたのに。
やっぱり彼には敵わない。
きっと、これからも。
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