先生と双子と幼馴染と。
「おはよう、カナ」

「翔也、おはよう…」

「おっはよー! って、カナ? 元気ないけどどうしたの?」

「陽菜っ! 聞いて!」


後ろから声をかけてきた2人は、私の大切な幼馴染。


兄の暮沢 翔也(くれさわ しょうや)
妹の暮沢 陽菜(くれさわ ひな)


双子の兄妹なんだ。

嬉しい時も悲しい時もいつも一緒にいてくれる2人は、私の心の支え。


「……パパとママが今日から海外に行くって」

「樹さんも京香さんも懲りないね……」

「うん。それよりも重要なことがあるんだけど…」


まだ理解しきれていない頭を落ち着かせようと、大きく深呼吸をした。

そして、2人を見つめながらゆっくりと口を開く。


「パパの親友の息子さんたちが、私の家で暮らすことになったの」

「は!?」

「……ふふっ、これまた急な話だね」


翔也は驚きすぎて固まっちゃったし、陽菜は驚きを通り越して笑ってる。


「もう、わけがわからないよ。陽菜、家に泊めて」

「カナ、真顔で言わないで。怖い」

「その息子さんたちって何人来るんだ?」

「どんな人なのかも、何人来るかもわからないの」

「樹さんってば相変わらずテキトーなんだから」


陽菜の言う通りだ。

パパは昔からテキトー人間。
大胆で大雑把ですごくポジティブ。

それがパパのいいところでもあるんだけど。


「何かあったらいつでも言えよ?」

「うん、わかった」

「なんで翔が不安そうな顔してんの?」

「ひぃはカナのこと心配じゃないの?」

「そりゃ、心配じゃないって言ったら嘘になるけどさ。カナは強い子だからね。私はカナのこと信じてる」

「それは…俺だって!」

「翔也、陽菜、ありがとう」


2人のおかげで、パパとママがいなくても寂しい思いをしたことがない。

感謝してもしきれないよ。



「同じクラスだといいね!」


私が翔也の制服の袖を引っ張ると、翔也は私の頭をぽんぽんと軽くたたきながら、「そうだな」と言った。


「私は仲間はずれですか〜?」

「陽菜もだよ! 1年の時は陽菜と同じだったけど、やっぱり3人一緒じゃないと意味がないってずっと思ってたもん!」

「なに言ってんだよ」

「ほんっとカナは大袈裟なんだから」


そう言って翔也と陽菜は笑った。


もう!
私はいつでも本気なんですけど!?



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