先生と双子と幼馴染と。
「とりあえず、リビングに行こうか」


陽菜はいつだって冷静だ。
その反面、翔也はわかりやすい。

ほら、今だって。
ずーっとそわそわしてる。


「……というわけなんです。何か質問はありますか?」

「特にはないけど……まさか矢野先生と一緒に、ねぇ〜」

「そういうのやめてよ、陽菜」

「カナ! 今すぐ俺たちの家に来い!」

「え、何言ってるの? カナちゃんの家はここだよ?」

「お前らと一緒に暮らすなんて危険すぎるんだよ!」


珍しく翔也が怒ってる……

確かに男3人の中に1人はきついけど、矢野兄弟は悪い人たちじゃない。


「翔也、心配してくれてありがとう」

「カナ…」

「翔が不安に思う気持ちもわかる。でも、樹さんだって危ないと思ったらカナのところに彼らを送り込まないよ」

「陽菜!」


侑斗さんは笑って「気にしないで」と言った。


「俺、帰る」


玄関に向かう翔也を追いかけようと私も立ち上がる。

陽菜はそんな私の手首をつかんで、静かに首を横に振った。


「大丈夫だよ、カナ。心配しすぎるのは昔からでしょ? 明日になったら戻ってるから」

「そう、だよね」

「きっと外で私のことを待ってると思うから、帰るね」

「うん」

「矢野先生。カナのことをよろしくお願いします」


陽菜の言葉に侑斗さんは少し困ったように笑った。
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