先生と双子と幼馴染と。
「愛されてるね」

「え?」


お風呂あがりにお茶を飲もうとキッチンに来た私は、リビングでテレビを見ていた和希くんに話しかけられた。


「幼馴染くんに」

「あー、昔から心配性なんだよね、翔也って」

「そういう意味じゃないんだけど。ほんっとバカ」

「は? じゃあ、どういう意味?」

「はあ…さすがにこれは幼馴染くんに同情する」

「さっきからなに言ってるの?」

「自分で考えなよ、鈍感さん」


ニヤッと笑う和希くん。

何が言いたいのかわからない。


「ねぇ、1つ聞きたいんだけど…」

「幼馴染くんに関する質問ならお断り」

「なんでわかったの?」

「この話の流れだと幼馴染くんのことじゃん」

「もういいや」


なんかムカつく……

それは和希くんに対するものなのか、理解できない自分に対するものなのか。
どちらなのかはわからないけど、たぶん後者。


「しょうがないから特別に教えてやる。幼馴染くんはお前のことを女だと思って接してる。だから心配してるんだよ。お前のことが大切だから」

「うん……?」

「ここまで言ってもわからない?」

「私だって翔也は大切な人だって思ってるけど、それとは違うの?」

「あとは本人に聞けば?」


翔也に聞いても教えてくれない気がするけど。


「……もう少し、自分で考えてみる」

「ふーん」

「教えてくれてありがとう」

「別に。あ、ゆずには気をつけろよ」

「え?」

「アイツは…」

「ボクがどうかした〜?」


タイミングがいいのか悪いのか、柚希くんはニコニコしながらリビングに入ってきた。
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