先生と双子と幼馴染と。
「このクラスの担任になりました。矢野 侑斗(やの ゆうと)です。よろしくお願いします」


新しい人だ。
若いし普通にカッコいい。


チラっと翔也を見ると、隣の席の女の子と楽しそうに話していた。

あんなに楽しそうに話すなんて珍しい。


私はいつの間にか翔也をじっと見ていたみたい。

陽菜にも翔也にも、じっと見る癖はやめたほうがいいよって言われてるけど……
無意識なんだよね……


隣から肩を軽くたたかれて我にかえる。


「自己紹介、だって」

「あ、うん。堀江 奏美です」

水野 航(みずの わたる)です。よろしく」

「よろしく、お願いします…」


水野くんってなんだか陽菜が好きそうなタイプだなぁ。


そういえば、翔也と同じ部活だったような……


「オレの顔に何かついてる?」

「あ、ごめん。別にそういうわけじゃなくて…」


またやってしまった……


「人間観察とか好きなの?」

「え!?」

「さっき、あの人のことずっと見てたから」

「好きとかじゃなくて、癖?らしいんだけど……自分では無意識なんだよね」

「ふーん」


自分から聞いてきたくせに……

水野くんは興味なさそうに頬杖をついて、遠くを見ていた。


水野くん、どこを見ているんだろう?

なんとなく視線を追うと、その先には陽菜がいた。


「ねぇ、水野くん」

「ん?」

「あの子のこと、気になってるの?」

「は?」

「陽菜のこと見てたでしょ?」

「お前と一緒にしないで」

「なにその言い方! ムカつく!」

「勝手にムカついてれば?」


なんなのコイツ!!!

授業でのペアワーク、最悪じゃん……

助けてくれる陽菜も翔也も近くにいないのに、これからどうしよう……


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