先生と双子と幼馴染と。
「おまたせー!」

「あれ? 何かあった?」

「何もないよ」


和希くんは笑ってごまかした。


「席順、どうしようか」

「じゃんけんで勝った人から決めていこう」


結果は通路側から
和希くん、私、翔也、陽菜、柚希くんの順になった。

翔也の隣でちょっと安心した。
だって、怖いんだもん。


予告が流れている時、左隣に座る 和希くんが私に「怖かったら抱きついてもいいよ」と囁いてきた。

「……別に」と強がってみたものの、実際はというと……

泣きそうになりながら…というか、泣きながら和希くんの腕に抱きついて顔をうずめていた。
いくら怖かったとはいえ、反射的にそんなことをしてしまった 私自身が1番怖い。

そんな私を振り払わずに、和希くんは「大丈夫だから」と小さい子をあやすように優しく頭を撫でた。

他のみんなは映画に夢中で、この状況に気づいていなかった。


……限界かも。


「和希くん」

「なに?」

「ギブアップ、です…」

「外に出る?」

「うん」


翔也は心配そうに私を見ていたけど、和希くんも一緒だとわかって安心したのか、すぐにスクリーンに向き直った。

私たちは周りの人の邪魔にならないように、急いで劇場の外に出た。
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