先生と双子と幼馴染と。
「ねぇ、翔也くん うるさい。早くその問題終わらせてよ。古文わかんないんだけど!」

「それが人にものを頼む言い方!?」

「……わかんないから教えて!」


翔也は国語と歴史が大の得意。
日本文学とか日本文化が好きらしい。

だから『日本研究部』っていう、なんかちょっと意味のわからない部活に所属している。
茶道、華道をはじめとする日本文化を体験したり、日本の有名な文豪について話したりするらしい……
一度だけ見学したことがあるけど、私には難しい世界だった。

まあ、『日本研究部』は裏部として存在しているだけで、本当は『弓道部』なんだけどね。


「日頃からちゃんと予習復習しないからこうなるんだよ? 1年の時も言った気がするけどさ! 小説とか漫画ばっかり読んで、ちゃんと勉強しない翔が悪いんだからね!?」


『ピンポーン』


「あ、きたきた」


陽菜のお説教から逃げるように玄関へと向かった翔也。

連れてきたのは……


「水野くん!?」

「随分賑やかだね」

「……誰?」


学年一の秀才、水野くん。


「クラスメイトの水野。ちなみに、カナの隣の席」

「その情報はいらない」

「柚希くん。睨むの禁止」


柚希くんに慌てて注意する。
どうしてすぐに人を睨むの!?

そんな柚希くんを気にせず、水野くんはにっこりと微笑んだ。


「……オレは興味ないから」

「それならいいんだ。仲良くしてね。下の名前はなんていうの?」

「航」

「ボクは矢野 柚希。よろしくね、航くん」


水野くんは視線だけでなにを感じ取ったの!?
なんか理解できないけどすごい。
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