先生と双子と幼馴染と。
「矢野 和希です」

「よろしくお願いします……それで、オレはなんで呼ばれたの?」

「頭がいいから」

「は? 帰ってもいい?」

「航くん、古文教えて。翔也くんは問題解くの遅すぎる。これ以上待てない」

「おい!」

「翔! 集中して」


賑やかだなぁ。こういうのも悪くないかも。


「……補習決定かな?」

「嫌です!! 夏休みも学校なんて嫌!」

「ちゃんとやりなよ」

「和希くんは自分の勉強しなくていいの?」

「授業受けて復習すれば頭に入るから」

「すごいね!」

「……努力したからね」


たまに和希くんの闇が垣間見える時がある。

その度に、「本当の和希くんはこっちなのでは?」「普段は偽りの和希くんを演じているのかも」と思ってしまう。

「秘密」と言われたあの時間に見た 和希くんが“本当の姿”だと本人は言っていたけど、それも嘘なんじゃないかなぁ。


「……はい、正解。これなら半分はいくんじゃない?」

「赤点回避できれば十分です……」

「他は大丈夫なの?」

「うん、大丈夫。教えてくれてありがとう」

「どういたしまして」
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