先生と双子と幼馴染と。
「ただいま」

「おかえり、カナちゃ…ん!? ねぇ! どういうこと!?」

「な、なにが?」

「これ!」


柚希くんは、私が着ているジャージの裾を掴んだ。


「背中に水がかかっちゃったから、着替えた…」

「そうじゃなくて! なんで翔也くんのジャージ着てるの!?」

「私も陽菜も持っていなくて…翔也がたまたま通りかかったから借りたの」

「……ふーん。なるほどね」


そう言ってぎゅっと私を抱きしめた。


「ゆ、柚希くん!?」

「最悪…」

「急になに!?」


必死に抵抗するけど彼の力には敵わない。


「かずくんの色にも、翔也くんの色にも染められちゃったんでしょ? それなら、ボクの色にも染めてあげる」


……ちゅっ。


「……え!?」

「ボクのことを好きになる魔法をかけてあげたよ。ふふっ、鈍感なカナちゃんもこれなら気づくよね?」

「あ、あの…」

「あー! 遅刻しちゃう! かずくんに怒られる! またね、カナちゃん」


柚希くんは大きな荷物を持って、慌てて家を出た。


一気に力が抜けて、思わずその場に座り込む。
そっと頬に触れると、唇が触れたところだけ熱をもっているように感じた。

頬に、キス…されたの?
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