バレンタイン・プレゼント
驚きで目をパチパチと瞬かせる私を安心させようとしてなのか。
如月さんは、ジーンズのポケットからスマホを出すと、私の目の前に画面を見せた。

「コロの写真撮ったんだ。霧野さんも見たいんじゃないかと思って」
「あ・・」
「それで俺、写真送りたかったんだけど、霧野さんの番号もアドレスも知らないし。でもこういうのを会社のメールで送るのは、癒されるだろうけどやっぱプライベートだからなぁ。やばいだろ?」
「はいっ。そうですね。じゃあ・・お願いします」

私はバッグからいそいそとスマホを取り出すと、如月さんと番号を交換した。

ずっと片思いをしている相手のプライベートの番号とアドレスを登録することができたなんて・・・。
私、また夢見てるのかな。
でも、目の前に立っている如月さんは本物だと思いながら、彼の私服姿を見たのも初めてだと気づいて、頬がボッと火照るくらい、感激してしまった。

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