バレンタイン・プレゼント
「俺も神楽坂なんだよ」
「えっ、ホントに!?」
「うん。とは言っても俺、3月に引っ越してきたばかりなんだ。ほら、2丁目にある高台の新築マンション、知ってる?」
「あーっ知ってます!何気にうちのご近所さんじゃないですか」

まさか如月さんは話を盛り上げようと思って嘘ついてるんじゃない?と思ったのは一瞬だけだった。
だって、こんなことで私に嘘をついたところで、如月さんに一体何のメリットがあると言うのよ?
それに、「高台に建てられた見晴らしが良い、神楽坂2丁目にある新築マンション」は本当に存在すると、近所に住んでる私は知ってるから、少なくともこの事に関して、如月さんは絶対に嘘をついてない。

< 6 / 67 >

この作品をシェア

pagetop