歯科医師神木千
看護婦べべ
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忍び込んだあの野球場で、
君はライター見せて、笑顔で、
僕は泣いた。それが嘘だと分かっていたから。
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大学デビューも失敗し、学年始まって以来の落ちこぼれと言われながら、留年を重ねつつも何とか卒業が見えてきた頃だった。
先が見渡せる造りになっている、大学の廊下で、先の方から女の子の影が見えて、かわいいんだろうなとか思ってたら、近づいてくるその姿はやっぱりかわいくて、揺れるその長い髪も、大きな瞳も、気品のあるその鼻も、かわいくて、僕は一瞬立ち止まって凝視してしまっていた。
「あのー何か?」
気が付くとその子が背の高い僕の顔を下から覗き込んでいて、僕はドギマギした。
「いや、何でも」
コツコツとかかとの高い靴を鳴らしながら、その子は行ってしまった。
何回生だろう。どうしてあんなかわいい子が、こんな大学に……
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大学生活ももう終わり。長い学生生活がおしまいに近づくにつれて、一つだけ引っかかっていることがある事に気が付いた。
ミュウのことだ。
ずっと片思いのミュウ。僕はずっと彼女が好きだった。
もう直ぐ離れ離れになるんだ。
あの夏、僕は少しセンチメンタルで、なぜか哀しい気持ちで、
ミュウのこと思いながら大学の学部棟の玄関を出たんだ……
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