くるみさんの不運な一日
目の上に置かれてた「それ」を取られると、呆れた笑いを噛み殺す、天川智明の顔が見えた。


その手にあるのは、青いハンカチ。


あたしの目の上に置かれてたらしい、濡れたハンカチ。


「大丈夫か?」

「……」

明らかに、座る天川智明に膝枕されてる状態で寝転んでるであろうあたしは、この状態の意味が分からず絶句してしまう。


ここは……どこ?


会社……だよね?


グルリと視線を動かしてみても、いまいちどこだか分からない。


会社の天井はどこも同じで、ここがどこだか分からない。
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