くるみさんの不運な一日
「……」

「高校球児、あの倉庫行かないしね」

「…………」

「高校球児は野球やってる訳で、在庫整理は――」

「いや、ただの(たと)え話だから」

「うん、知ってる」

「…………」

「喉乾いた」

「スポーツ飲料でいいか?」

「うん」

「ちょっと頭動かすぞ」

そう言って、後頭部に回された手が、あたしの頭を天川智明の膝から離す。
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