くるみさんの不運な一日
「あっ、悪い。電話」

突如廊下に響いた着信音に、天川智明は腰を上げる。


とってもラブリーな着うたが、倉庫前に響き渡る。


そそくさと、まるで逃げるようにあたしから離れていく天川智明の、電話の相手が誰かなんて聞くまでもなかった。


「もしもし? 俺」

数メートル離れても微かに聞こえてくる天川智明の声。


「あ、やべ。今日、約束してたか」

いつもより2割増し優しく聞こえる天川智明の声。


「悪い。まだ帰れそうにない」

彼女と話す時はそんな感じの話し方するんだ?って、聞いてしまいそうな天川智明の声。
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