くるみさんの不運な一日
それくらいの嫌み言ってやりたかった。


だけどその言葉は何故か喉に詰まってしまって、口から出てこなかった。


「マジでいいのか?」

気遣いから掛けられる声に「うん」と答えて、


「関係ない天川さん、これ以上巻き込むのも悪いし、明日やるから」

何とか嫌みを口にした。


それが今のあたしに言える、精一杯の嫌みだった。


だけどそんな緩い嫌みは、天川智明に通じる訳もなく、


「別に気にしなくていいぞ?」

優しい言葉が返ってくる。
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