くるみさんの不運な一日
「くるみ」

「何!?」

暴走気味の妄想から現実に引き戻す声に、大袈裟に反応したあたしを彼は少し驚いたように見て。


「今日の夜、暇?」

驚き顔を少し和らげると、優しい声で問い掛けてくる。


突然の質問に何があるのかと、きょとんと「何で?」と聞き返すと、「飯、食いに行こ」って彼が笑った。


「……いいの?」

「うん」

「し、仕事は?」

「今の電話で、今日中に資料が届かないから、今日は早く帰っていいって言ってもらえた」

「ほ、本当に?」
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