くるみさんの不運な一日
そう思ってるあたしを尻目に、彼は電話に出る。


だから凄くがっかりと思った――直後、聞こえた。


聞こえてきた。


漏れてきた。


『私だけど』って言った女の声が彼の携帯から漏れてきやがった。


…………どちらの「私」様で?


何!? 「私だけど」って何!?


当たり前のように「私だけど」って言っちゃうのは何のつもり!?


そして「だけど」何!?


その後、何!?


食い入るように見つめるあたしに気付かない彼は、それでもあたしから少しずつ離れていく。
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