くるみさんの不運な一日
「どうしたんですか?」

離れた所為ですっかり聞こえなくなった女の声。


「大丈夫です」

何が大丈夫なのか知らないけど、それが今掛けてきた電話の事だったら決して大丈夫じゃないと思うあたしの気持ちなんて一切気付かない彼。


「あっ、それなら俺のデスクに置いてます」

彼が話す内容から、それが仕事関係の電話だって事は分かる。


「はい。じゃあ、明日」

分かってる。


仕事の電話だって分かってる。


分かってるけど、


「で、電話、誰?」
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