くるみさんの不運な一日
反撃とまではいかなくても、反射的に殴り返されるかもしれないし。


後から説明するにしても、事情を言える訳はないし。


もし事情を言っちゃったとしても、結局は合意の上だし。


「……………」

だからあたしに出来る事って、こっそり睨み付ける以外に何もない。


この世の怨念を全て纏った勢いで睨み付けるしか手立てはない。


なのに。


物凄い勢いで睨み付けてるのに。


「……名刺、欲しいんだけど」

天川智明は素知らぬ態度で、名刺を渡せと手を出してくる。
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