くるみさんの不運な一日
魔女だ。


ある意味、魔女と言ってもいい。


プンプンと香水だかフェロモンだか撒き散らすこの女は、魔女の化身(けしん)に違いない。


「初恋の話じゃないわよ! それは話の流れでしょうに!」

そんなふたりの中間の位置にいるのがあたし。


それなりにお洒落や男に興味はあるし、3人の中じゃ一番まともな職に()いてる。


それは別に職業差別してるって訳じゃなく、一番安定してるってだけの意味。


朱莉はグラフィックデザイナーなんて小洒落た仕事をやってるけど、就職先は個人事務所で、今のご時世いつどうなるか分からない状態らしい。


貯金もなくて、たまに家の電気が止まる。


この間、また給料を下げられたって笑ってたけど、将来に不安を感じないのかって不思議に思う。
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