くるみさんの不運な一日
だから足に力を入れて、一生懸命その場に立ってた。


床が崩れて奈落の底に落ちてしまいそうな気持ちを、何とか抑えてその場に立ってた。


膝がプルプル震えてる。


バカみたいに震えてる。


絶対それには気付かないでと願うあたしに天川智明は、「じゃあな」と軽く肩に触れる。


腹立たしかった。


触られた個所を拭いたかった。


だけどあたしはその力で――軽く触れられただけの力で、その場に膝から崩れ落ちた。


限界だったんだと思う。


もう立ってる事すら出来なかったんだと思う。


――ただ。
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