イミテーションラブ
お昼に水族館内でランチを食べた後は、イルカショーを見て楽しんだ。音楽に合わせて泳いだり、水上を自由に飛んでいるイルカは迫力があって十分に見応えがあった。
「イルカのショーよかった!!」
私がそういうと田崎も興奮気味に喜んでいた。
「また来ようぜ!」
「うん!」
水族館で楽しんだ後は、駅ビルに行ってショッピングを楽しむ。
田崎は日用品や衣服を中心に買い物をしていく。
「色々買ったんだね」
「まあな、これから必要だしな」
「一人暮らし?」
「ああ、今年から会社の近くに引っ越した所」
「じゃあ、何かと入り用なんだね」
「そういう事」
二人であちこち見て回って、荷物が多くなったから、そのまま駅で解散するかと思ったら、「関係ない、送っていく」と荷物を持ったまま家まで送ってもらった。
二回目の田崎の来訪。
家に上がると思ったら、幾つかある紙袋の一つを私に手渡した。
中身を見たら日用品と数枚の衣類と下着類。
「…これって…お泊まりセット?」
「一泊セット」
「なんで?」
「また来るし」
「え…?」
「俺、好きだっていったろ?」
「……うん」
「デートしたろ?」
「…うん」
「楽しかった?」
「…うん…」
「じゃあ、ゆっくり休めよ」
そう言って田崎涼介は帰っていった。
紙袋の奴の着替えセットを呆然と眺めながら、今日だけじゃなくて次もあるんだなと思った。


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