イミテーションラブ

歓迎会

予定していた歓迎会の日がやってきた。
お洒落な個室の洋風居酒屋で夕方から集まって、コースの予約を入れてくれている。
「飲み放題だからいっぱい飲んでね！」
お店の予約を引き受けてくれた英里奈先輩が、幹事役も引き受けてくれて今回の歓迎会が開かれることになったらしい。
課の人達も今日は仕事の日じゃないからか、いつもよりお洒落に見える。
女性は会社の制服じゃなく、華奢で女性らしい格好をしているし、男性は少し崩した感じのビジネスカジュアルって感じだ。
「じゃあ、課長！上司から新入社員の城山さんへ一言お願いします！」
英里奈先輩がエアーマイクで課長の口元に手を差し出す。
「えーでは、素晴らしい先輩社員を見習って早く仕事を覚えてるように頑張って、乾杯！」
私もぺこりと頭を下げて挨拶した。
皆は一斉にビールを飲み干して、お代わりを注文したり、並べられた料理に手を伸ばす。
私は今日の幹事を引き受けてくれた英里奈先輩にお礼を言おうと英里奈先輩の横に座りビールを注ぐ。英里奈先輩は既に酔ってて、注がれたビールを飲むと、そういえばと私にコッソリ耳打ちしてくれた。
「今日は〜うちの課だけの歓迎会なんだけど〜、後で一人、合流するからね〜ふふふ」
もう酔っ払って、笑いが止まらない感じだ。

「もう出来上がってるな…田中さんは」
英里奈先輩の正面に広瀬さんが座っていて、私と先輩を見てボソッと呟く。
「英里奈先輩って、お酒弱いんですか？」
「本人曰く、二杯で酔い潰れて、三杯目から気持ち悪くなるって、たぶん二杯目だな」
「え、じゃあ私、お水貰ってきます！」
立ち上がって、店員さんを探しに個室からフロアへ出た。
「城山！」
聞き慣れた声がして、そっちを向くと見覚えのある顔。
「なんで？」
田崎涼介が入り口から入ってきた所だった。