愛なき契約婚 ~その長身な遺伝子を私に下さいっ!!~
その彼が、私のハジメテの相手で専門学校時代に長く付き合っていた。
才能があって、とても優しい人だった。
その穏やかな彼が好きだった、、、、。
お互い、夢に向かって別れを選んだ。
そんな彼も今や、この業界では知らぬ者がいないほどの若手人気でデザイナーとして活躍している。
もう、彼以上の人に出逢えないと思っていたのに出逢ってしまった。
仁の仕草、1つ1つを彼と比べてしまう。
大きい手。
抱きついても、手が回りきれない引き締まった身体。
耳元で囁く声。
匂い、温もり。
その全てが五感を刺激して、痛みさえ愛おしい。
あの頃に感じていた感情ではない。
穏やかな感情ではなく、胸が押しつぶされるような苦しさ。