愛なき契約婚 ~その長身な遺伝子を私に下さいっ!!~
程なくして彼の勤める会社に着いた。
受付に話してもきっと門前払いされるだろう。
それならば彼がここに降りてくるまで待つしかない。
何時に終わるか、ここから降りてくるかも分からない中、待ち続けた。
ロビーのエントランスにある来客用のソファーに腰を下ろす。
受付嬢には白い目で見られ、通っていく社員には横目で怪訝な顔をされた。
はた目には、アポを取らずにきたラフな格好の営業マンにでも見えているかもしれない。
でもどんな風に見られたっていい。
形振りなんか構っていられない。
先程、雪に降られたせいで暖房が入ったロビーでも身体が芯から冷えきっている。
その所為で身体が小刻みに震える。
もうどの位そうしていたのか、外は真っ暗になっていた。