愛なき契約婚 ~その長身な遺伝子を私に下さいっ!!~
ロビーにいる人間も疎らになった頃、とうとう待ち続けていた人物がエレベーターから颯爽と降りてくる。
初めて見るスーツ姿に胸がトキメク。
ぐっと大人の男に見えた。
どんな姿も様になる。
素早く立ち上がり、そんな彼に声を上げる。
「待ってました、、!山下 仁さん。」
それに気づいた彼が、知るはずの無い女の口からフルネームを呼ばれ眉間の皺がより一層深く刻まれる。
そしてコツコツと革靴を響かせ、大股でこちらに向かってくる。
「この、、犯罪者が。」
今までで1番低い声で呟く彼。