愛なき契約婚 ~その長身な遺伝子を私に下さいっ!!~
ゆらゆらと揺れる瞳に、胸が締め付けられる。
そして静かに言葉を続けた。
「今更こんな事言っても遅いかもしれないが、お前を抱いたのは、父親の償いとかそんなんじゃなくて、どんな理由でもいいから触れたかったからだ。お前に誰かが触れたと思ったら自分の中に初めてドス黒い感情が渦巻いて嫉妬に支配された。無理矢理に手を出して酷く傷つけたりもした。、、、だが妊娠がわかって、例え子供が俺の子供じゃなくてもいい。お前が産んだ子供なら愛せると思えたんだ。」
拳を震わせ、低い仁の声が響く。
「それなのに、、何故、あんな危険を犯してまで、、あの部屋に行った、、、?」
それを聞いてハッとなって辺りを見回す。
「私のっ、、!バックは何処に?!?!あれの中にはっ、、、大切なっ、、っ、、、!」
「これが、、、そんなに大切か?煙の中、取りに行くほどににか?」
彼の手に握られた服。
大分皺が寄ってしまっているが、無事に此処にある事に安堵する。
そしてポツリポツリと呟く。