愛なき契約婚 ~その長身な遺伝子を私に下さいっ!!~
「会社経営者の2代目家庭のよくある話だ。なんの努力もせずに社長職につき、無能な父親は女のところに入り浸って、母親は若い男を連れ込む。満足に与えられたのは金だけで、完全なる仮面夫婦だ。そういう環境で育てば子供もまともには育たない。俺がまさにその手本だ。弟が1人いるが、あいつが小さい頃はよく面倒は見てきた。、、、出来のいい弟だ。あいつだけが気がかりだが、上手くやるだろ。心配はしていない。ちなみに今日、父親に話をつけに行ってきた。」
何処か自分の事のように悲しそうな表情を見せる姿に締め付けられた。
そしてゆっくりと手が伸びてきて、遠慮気味に服の袖口をぎゅっと握る。
「そんな環境でも、仁さんはまともに育っているではありませんかっ、、、!なんだかんだ言ってもこんなに優しい。仁さんは私の希望なのですよ?ですから、そんなに自分の事。悪く言わないで下さい。」
数えるほどしか会ったことのない面識のない女からの言葉としても、純粋の嬉しいと感じる。