愛なき契約婚 ~その長身な遺伝子を私に下さいっ!!~


「仁さん、あの生地取ってください。ほら、アレ、、、!」

「、、、これか?」

「うん、、それです。あとあれも。」






長い時間生地を思案して、いくつか候補を買い込んで笑顔で店を後にする。







「おじちゃん、おばちゃん。また、来るね。」

「またいつでもおいで。、、、2人で。」

「うん、、、。」





すこし気まずそうに下を向く私の手を、彼が優しく握る。







「帰るぞ、真澄。」


2人に頭を下げて、手を引いて店を出て行く。






会社に押しかけた時以来の温もり。


あの時とは違って握り方も優しくて、今日は戸惑ってばかりだ。

< 90 / 330 >

この作品をシェア

pagetop