愛なき契約婚 ~その長身な遺伝子を私に下さいっ!!~
「仁さん、あの生地取ってください。ほら、アレ、、、!」
「、、、これか?」
「うん、、それです。あとあれも。」
長い時間生地を思案して、いくつか候補を買い込んで笑顔で店を後にする。
「おじちゃん、おばちゃん。また、来るね。」
「またいつでもおいで。、、、2人で。」
「うん、、、。」
すこし気まずそうに下を向く私の手を、彼が優しく握る。
「帰るぞ、真澄。」
2人に頭を下げて、手を引いて店を出て行く。
会社に押しかけた時以来の温もり。
あの時とは違って握り方も優しくて、今日は戸惑ってばかりだ。