愛なき契約婚 ~その長身な遺伝子を私に下さいっ!!~
車に着くなり直ぐに離された手が寂しい。
少し落ち込んで自分の手を見つめる。
すると運転席から大きな手が伸びて来て、膝の上で握っていた拳の上にそっと重さねられた手。
「あっ、、、。」
「どうした?今日は随分下ばかり向いてるな。お前らしくない。もっと前だけ見てろ。あと1週間しかないんだろ。立ち止まっている暇なんかない。それとも、、、珍しく家族が恋しくなったか、、、?俺にはその気持ち分からないが、お前にはそういう時もあるだろ。」
あんなに愛されて育ったのに、、、家族の、、〝ShinonOme〟の為に必死になってきたのに、こんなに寂しい気持ちになったのは、そんな家族や服の事じゃないなんて、、、。
本音を隠すように、呟く。
「、、、バレました?ふふっ、会いたくなっちゃいました。もし嫌じゃ無ければ、家に着くまで手を、、、握ってくれませんか?」