素直になれない、金曜日


心配、だとか
友達、だとか

砂川くんが放つ単語のひとつひとつが、柔らかくて温かくて。



こんな言葉を私がもらってもいいのかな、と呆然と砂川くんを見つめていると、ようやく彼も視線を私に戻した。


そして、照れくさそうに少し頬を指で掻いたあと。




「だから、俺は『ごめん』より『ありがとう』が聞きたいんだけど」



ああ、もう。

そんなことを言われたら、素直に言うしかなくなってしまう。




「……ありがとう、砂川くん」

「どういたしまして」




ふ、と笑みを零した砂川くんにつられて私の口角も自然と上がる。


そのとき、欲張りかもしれないけれど、思ってしまった。


この時間がなによりも今愛しくて、ずっとこの時間が続けばいいのにって。



暫くして唐突に砂川くんが口を開いた。




「桜庭さんは、いつも俺のこと、優しいって言うけどさ」


「……?」


「俺、ほんとは全然優しくなんかないよ」




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