素直になれない、金曜日
口々に申し訳なさげに、考えてこれていないと謝る先輩たち。
それも仕方ないと思う。だって、この前は本当にあの不審者騒動でぜんぶ掻き消されてしまったから。
「でも、このままだったらまたスタンプラリーになるんだよねー」
「あれ、つまんないし全然人も来ないし……」
図書委員毎年恒例のスタンプラリー。
毎年新しい意見が出ないまま、いつの間にかスタンプラリーで定着してしまっているらしい。
だけど、話を聞くに例年のスタンプラリーは工夫もなにもなく、本当にただのスタンプラリーだそうで。
他の生徒からの人気も低くて参加者も少ないらしく、先輩たちも明らかにスタンプラリーは避けたい様子だ。
「んー、ほかに意見ある人いない?」
困り果てた様子の委員長先輩。
本当は、私も力になりたい……けれど。
ぎゅ、と瞼を閉じて俯いた。
「桜庭さんは、なにも考えてきてないわけ?」
「ひゃっ?!」
さっきまで居なかったはずなのに、いつの間に隣の席に来ていたのだろうか。
砂川くんに突然話しかけられて、思わず素っ頓狂な声を上げた。