素直になれない、金曜日

「……」


ぐうの音も出ない。
だって、その通りだったから。



私の大したことのない案なんて取るに足りない。


それに、なにより他に誰ひとりとして考えてきているひとがいないのに私だけこんなに真剣に考えてるなんて、傍からみたらばかばかしいんじゃないかって。



「誰も馬鹿になんてしない」



まるで私の心を読んだかのようなタイミングで、砂川くんはそう言った。

いつもそうなんだ、砂川くんは声に出さない私の気持ちをまるごとわかっているような素振りをする。



「悪いことじゃない、むしろ良いことなんだから堂々としてればいいんだよ。それに自分が思っているほど、他人は深く考えていない」



砂川くんが言ってることはたしかに正しい。正しいし、わかる……んだけど。



もう一度、首を横に振った。



私は持ち合わせていない。
自分が思ったことを素直に声に載せる自信も、それから勇気も。


拒絶されたらと考えると、怖くてそんなことできない。



そんな私の様子を見て、砂川くんは薄くため息をついた。


呆れられたかな。
ちくり、と胸が針でつつかれたように痛む。


……でも、これが私。




情けなくて、不甲斐なくて
喉の奥になにかがつかえたように苦しい。



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