素直になれない、金曜日

砂川くんの方を真っ直ぐ見ていられなくて、不自然に目を逸らした。


ああもう、本当に嫌いだ。
自分のことなんて。


次から次へと湧きあがってくる自分への嫌悪感に、唇を噛み締めて手のひらでスカートの裾をきゅっと握りしめていると。




「砂川?」




視界の端に、砂川くんが手を挙げるのが見えた。

首を傾げた委員長先輩に応えるように、ガタンッと音を立てて席を立つ。



「絵本カフェ、とかどうですか」



砂川くんの発した言葉にハッと顔を上げた。

だって、それは。



「絵本カフェ?」



怪訝な顔をみせた先輩にも臆せず、堂々と話を続ける砂川くん。




「いくつかの絵本をコンセプトに飾り付けて その絵本に出てくるメニューを出す」


「待っ、すなかわく……」




慌てて止めようとした私の声は、少し離れたところから聞こえた女の先輩たちの声に遮られた。




「それすごくいいじゃん!」

「SNSで似たようなカフェみたことある〜」

「そこ可愛いよね……!自分たちでできたら楽しそう!」




興奮した様子の先輩たちの声に、目を見開いた。

うそ、受け入れられている……?
引かれていないの?



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