素直になれない、金曜日



じわり、じわりと胸の中になにか温かいものが染み渡っていくような気がした。



「ごめん、俺、男だからかもしれないんだけど、全然イメージできない……」



苦笑いする委員長先輩に、すかさず砂川くんが私が書いたルーズリーフを手渡した。



「大体こんな感じかと」

「お、すげー!イラスト付きじゃん、わかりやすっ!」



感嘆の声をあげた委員長先輩。

その声を聞いた他のみんなも、ルーズリーフの周りにわらわらと集まってきて。




「え、すごーい!イラストめっちゃ可愛いし、こんなに細かく考えてくれてるの?!」


「ほんとだ、これ全部砂川くんが?」




投げかけられた質問に、砂川くんがふっと口角を上げてこちらに視線を流した。




「考えたのも、これ書いたのも、全部桜庭さんですよ」


「っ!」




突然こちらに集まる視線。

体が竦んで、肩が揺れた。
緊張を紛らすようにごくん、と唾を呑み込んだと同時に。



「えー!!ひよりちゃん、凄すぎ!」

「イラスト上手〜」



委員のみんなに凄い勢いで囲いこまれる。

恥ずかしいけれど、嫌じゃなくて……むしろ、嬉しくて。



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