素直になれない、金曜日
小春は基本人見知りをしない。
誰とでもすぐに仲良くなれる、人懐っこくて外向的な性格なの。
葵依ちゃんはきっと小春とは真逆。
見た目通りの大人しく、内向的な性格なんだろうな。
私には、そんな彼女の気持ちが手に取るようにわかった。
─────……だって、私も同じだもの。
「今日ね、葵依ちゃんといっしょにお絵描きして遊んだの!」
「そうなんだ、なにを描いたの?」
「えっとね、小春はねーたんとママのこと描いたよ!あとで見せてあげるね!」
にこにこと満面の笑みで話してくれる小春は、我ながら可愛い妹だなあと思う。
思わず頬が緩んだ。
「葵依ちゃんは、おにいちゃんのこと描いてたんだよねっ」
小春が楽しそうに話を続ける傍ら、不安そうに私と小春を見比べてそわそわする葵依ちゃん。
『私も何か話したほうがいいのかな』って、そんな迷いが聞こえてくるくらい、表情にくっきりと表れている。
小春に相槌を打ちつつ、そんな彼女に微笑みかけた。
“ 大丈夫。話さなきゃ、なんて頑張らなくてもいいよ ”
そう、伝えたくて。