素直になれない、金曜日
半径0.5メートル
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土曜日の朝、いつもならまだ家で寝ぼけてだらだら過ごしているような時間。
最寄りの駅の前。
そわそわと何度も鏡で前髪のチェックを繰り返す私は、傍から見たら挙動不審なんだろうな。
そう、今日の私はいつも以上に挙動不審だ。
今朝起きてすぐ、ベッドの上にクローゼットの中の服をざっと並べて、吟味すること小一時間。
いつもより念入りにブローして、ハーフアップ纏めた髪のその結び目にはお気に入りのバレッタ。
着替えて、それからお気に入りのリップを塗って。
家を出るまでの間、何度も姿見の前で格好を確認してはそわそわする私の様子を見て、小春は不思議そうに首を傾げていた。
挙動不審だという自覚は、ある。
───だって。
そこまで考えたところで、もう聞き慣れた声が鼓膜をくすぐった。
「桜庭さん」
「砂川くん……!おはようっ」
慌てて挨拶した私に、くす、と笑って砂川くんも「おはよう」と返してくれた。
少し照れくさくなって、合わせていた視線を下方向に逸らすと。
砂川くんの、私服。
私服姿を見るのは、これが初めて。
白のTシャツの上に、ネイビーの半袖コーチシャツを羽織っている。下は黒いパンツスタイル。
足元にはスニーカーを合わせた、全体的にシンプルにまとめた格好だ。
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土曜日の朝、いつもならまだ家で寝ぼけてだらだら過ごしているような時間。
最寄りの駅の前。
そわそわと何度も鏡で前髪のチェックを繰り返す私は、傍から見たら挙動不審なんだろうな。
そう、今日の私はいつも以上に挙動不審だ。
今朝起きてすぐ、ベッドの上にクローゼットの中の服をざっと並べて、吟味すること小一時間。
いつもより念入りにブローして、ハーフアップ纏めた髪のその結び目にはお気に入りのバレッタ。
着替えて、それからお気に入りのリップを塗って。
家を出るまでの間、何度も姿見の前で格好を確認してはそわそわする私の様子を見て、小春は不思議そうに首を傾げていた。
挙動不審だという自覚は、ある。
───だって。
そこまで考えたところで、もう聞き慣れた声が鼓膜をくすぐった。
「桜庭さん」
「砂川くん……!おはようっ」
慌てて挨拶した私に、くす、と笑って砂川くんも「おはよう」と返してくれた。
少し照れくさくなって、合わせていた視線を下方向に逸らすと。
砂川くんの、私服。
私服姿を見るのは、これが初めて。
白のTシャツの上に、ネイビーの半袖コーチシャツを羽織っている。下は黒いパンツスタイル。
足元にはスニーカーを合わせた、全体的にシンプルにまとめた格好だ。