素直になれない、金曜日

木曜日はぎこちなく

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「そっちベニヤ板足りてる?」

「んー、あとちょっと長さ欲しいかな〜」



長かった夏休みが終わり、新学期がはじまった。

10月の文化祭に向けて校内が騒がしくなってきて、お祭り的な雰囲気が漂っている。


図書委員の文化祭準備もだんだん忙しさを増してきていて、ここのところ毎日放課後、図書室に残っての作業が続いている。



それというのも、大がかりなセットを提案した私のせいなんだけれど、みんな快く作業に参加してくれて、図書委員の皆の温かさを実感している日々だ。



半年ほど前、図書委員になることは半ば押し付けられるようにして決まったけれど、今となれば私の大切な場所で、図書委員になれて結果的にはよかったなあ、と思っている。




「段ボール取ってくれない?」

「ごめんっ、段ボールさっきので最後だったみたい」


「あー、こっちもポスターカラー切れたとこだわ」

「画用紙もそろそろなくなりそうなんだけど!」



夏休み前に買い出しに行った材料はそろそろ切れ始めたらしく、作業中の図書室のあちこちから材料不足の声が聞こえる。



「そろそろ残りの材料じゃ厳しいかなー。誰か手空いてるやつ、買い足しに行ってきてくれない?」




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