素直になれない、金曜日
恭ちゃんの言う通り、一番近くでもN高校の近くのホームセンターに行かなければならないだろう。
そうは言っても、N高校はここからそんなに離れていないし、徒歩で行ける範囲だから。
「さっと作業終わらせて行ってくるね」
恭ちゃんに向かってむんっ、とガッツポーズを決めると怪訝そうな表情を向けられる。
「頼むから迷子にはなんなよ?」
「っ、ならないよ……!」
この歳になって、迷子の心配をされるなんて心外だ。
確かに私は方向音痴だけれど。
さすがに、徒歩距離にあるホームセンターくらいなら迷わずに行ける。……はず。
「たぶん、買い出し行ってもらってる間に最終下校時刻になるだろうから、そのまま家に帰ってもらっていいよ。買ったものは明日持ってきてもらっていい?」
「あ、はい。わかりました」
それから委員長先輩に買い物リストを作ってもらっている間に 自分の作業の残りをぱぱっと終わらせて。
準備が完了したところで、鞄を持って図書室を後にした。