素直になれない、金曜日
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「わっ、桜庭さんじゃん」
「いいタイミングで現れるね」
買い出しに出発しようと昇降口に向かう廊下を歩いている途中、突然誰かに名前を呼ばれて引き留められた。
「榎木……さん」
振り返れば、それは榎木さんと、それから数人の女の子たち。
いつもクラスの中心になっているメンバーだ。
「ね、桜庭さん今暇?」
「……っ」
こてん、と可愛らしく首を傾げた榎木さん。
次に続いた言葉は、大方私の予想通りだった。
「担任に、教室の後ろのロッカーの整理頼まれたんだけどね。よかったら、桜庭さん代わりにやってくれない?」
悪意のない顔で、にこっと笑う榎木さん。
いいでしょ?と屈託のない笑みを前にすると、今までの私は断ることができなかった。
自分の言葉を飲み込んで、言われるがままになっていた。彼女たちが悪なんじゃなくて、私がずっと弱かったんだ。
そのことには、ずっと前から気づいていたけれど、変わるきっかけを作ることができなかった。
……でも、今の私は違う。
砂川くんと出逢って、変わるきっかけを、その勇気を彼がくれたから。
たしかに私は、変われている。
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「わっ、桜庭さんじゃん」
「いいタイミングで現れるね」
買い出しに出発しようと昇降口に向かう廊下を歩いている途中、突然誰かに名前を呼ばれて引き留められた。
「榎木……さん」
振り返れば、それは榎木さんと、それから数人の女の子たち。
いつもクラスの中心になっているメンバーだ。
「ね、桜庭さん今暇?」
「……っ」
こてん、と可愛らしく首を傾げた榎木さん。
次に続いた言葉は、大方私の予想通りだった。
「担任に、教室の後ろのロッカーの整理頼まれたんだけどね。よかったら、桜庭さん代わりにやってくれない?」
悪意のない顔で、にこっと笑う榎木さん。
いいでしょ?と屈託のない笑みを前にすると、今までの私は断ることができなかった。
自分の言葉を飲み込んで、言われるがままになっていた。彼女たちが悪なんじゃなくて、私がずっと弱かったんだ。
そのことには、ずっと前から気づいていたけれど、変わるきっかけを作ることができなかった。
……でも、今の私は違う。
砂川くんと出逢って、変わるきっかけを、その勇気を彼がくれたから。
たしかに私は、変われている。