素直になれない、金曜日
「可愛いって、思われたいから……?」
おずおずとそう答えると。
「まあ、たしかにそれもあるけど。……私は思うのよね。女の子は皆、自信がほしくてオシャレするんじゃないのかなって」
「着飾って、髪の毛かわいくして、メイクして。そしたら、堂々と歩ける気がしない?自信を持って、胸張って歩いていきたいから、そんな女の子の味方になってくれるから、私はオシャレが好きだし、そのために努力だってするよ」
私はずっと、きらきらしている由良ちゃんを羨ましがっていたけれど、その奥には悩みも葛藤もあって、その彼女なりの答えがあったんだ。
そんな彼女が、とてつもなく格好良く見えた。
「せっかく可愛くしてあげたんだから、自信持ちなよ」
「うん」
彼女なりに私を励ましてくれてるんだと思った。そんな不器用な応援が、嬉しかった。
「ありがとう」
微笑むと、由良ちゃんも微笑み返してくれた。
鏡のなかの、いつもより少し可愛くなった私。
この姿を誰よりも、砂川くんに見せたいって思った。