素直になれない、金曜日
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割れんばかりの拍手を浴びながら、舞台袖に退場する。


図書委員のシフトが終わってすぐ劇の本番がはじまって、ちょうど今、劇が終わったところ。


自分で言うのもなんだけど、大成功を収めたと思う。



時代劇、というテーマはみんなの意表を突いたみたいで、なかなかの好感触で。

ヒロインを演じた由良ちゃんの目を引く可愛さもあって、最後は歓声と拍手の嵐だった。


私も、ひとつもミスをすることなく演技を終えられて、大満足。



「ひよ、お疲れさま」

「由良ちゃんこそ!」



衣装から着替えていると、由良ちゃんがこちらに歩み寄ってきて。

ふたりでハイタッチを交わす。



「まあ、ひよのお楽しみは今からだもんね?」

「えへへ……」



劇がはじまる前に、由良ちゃんには砂川くんと文化祭をまわることになったと報告したんだ。

すると由良ちゃんは、それこそわかりにくい喜び方で一緒に喜んでくれて。



頑張れ、の念をこめて髪の毛のアレンジとメイクを昨日みたいにしてくれた。



いつまでも由良ちゃんに頼ってられないし、私も、オシャレの勉強しなきゃね。

今度、由良ちゃんに教えて貰おうかな。




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