素直になれない、金曜日


「あのね、私……砂川くんに伝えたいことがあります」



そう言うと、砂川くんの背中がわずかに揺れたような気がした。



「そのままでいいから、聞いてほしいの」




相変わらず、砂川くんからの返事はないけれど、それを肯定の意味にとることにした。


ゆっくりと息を整えて。



それから朝、家を出る前にスカートのポケットに忍ばせた、お守り代わりの栞をスカートの上からきゅ、と握った。


頭の中も心の中も上手く纏まらなくて、ぐちゃぐちゃだけど、それでも砂川くんなら受け止めてくれると信じて、口を開いた。




「私、ずっと、弱虫で引っ込み思案で口下手な自分のことなんて大嫌いだった。自分の存在意義なんてわからなくて、消えてしまった方がましだって、思ってた。

自分のことなんてどうでもよくて、世の中の真ん中できらきらして輝いている人と、私とは生きる世界が違うんだって諦めてた」






そんな私の前に、突然現れたのが砂川くんだったんだ。


それはまるで、彗星。


降ってきたように突然現れて、きらきらちかちか眩くて。




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