素直になれない、金曜日
一瞬にして目を奪われた。
何故だか目が、離せなくて。
「そんな私に、顔の上げ方すらも忘れてしまっていた私に、きらきらした世界を見せてくれたのが砂川くんだったの」
世界がこんなに煌めいて見えるなんて、きみに出逢うまで知らなかった。
思い返せば、最初から。
「砂川くんは最初からずっと、私のヒーローだったんだ」
いつだって、助けてほしいときに駆けつけてくれて、欲しいときに欲しい言葉をくれた。
助けられているのは、救われているのは、いつだって私の方だったよ。
「最初の日に、見ず知らずの私を助けてくれたこと。誕生日にくれたクッキーがとっても美味しかったこと。
落ち込みそうになる私をすくい上げてくれたり、転びそうになった私を支えてくれたり。
ほんとうは、ありがとうっていつも思ってて、だけど全然言葉にできなくて、ずっと後悔してた。
他にもいっぱい、いっぱい感謝してるの。ありがとうって、ずっと思ってるの」
今まで言えなかった分の、全部のありがとうの気持ちを受け取ってほしくて。
「ほんとうに、ありがとう」
頭を下げて、それからぱっと顔を上げれば、いつの間にか砂川くんはこちらを向いていた。
向き合ったまま、視線が絡む。