素直になれない、金曜日

「砂川くんとの日々のなかで、見つけた感情の名前を探してた。気づいてからは、ずっと、その気持ちを砂川くんに伝えるための自信が……欲しくて。変わりたくて。


砂川くんに出会って、自分の事が少し、好きになれたよ。胸を張って歩けるようになったの。


だから、だから……あのね、」





皆に背中を押してもらって、それから、砂川くんが栞に書いてくれた五文字を胸に抱いて。


素直な気持ちで、伝えるから、だからね、聞いてほしい。


届けたい、だれよりも今────目の前のきみに。





「砂川くんが、好き。
砂川駿くんの全部が好きです」




きみのことが、好きだ。
ずっと、ずっと前から好きだった。

たぶん、最初から恋だった。




想いを告げて数秒、時が止まったような気がした。

何も言わない砂川くんに不安になって。





「あの、それだけ聞いて欲しかっただけ、だから─────」



返事はもらえなくていい、と言おうとすると、砂川くんが私の腕をぎゅ、と掴んだ。


まるで、逃がさない、とでも言うように。



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