素直になれない、金曜日
「……なんで泣いてるの」
砂川くんが困ったように笑って、私も涙目のままつられて笑った。
「幸せすぎて、だよ」
そう言うと、砂川くんがいたずらっぽく口角をあげた。
「……まだ早いよ」
「え?」
戸惑いながら首を傾げた私の額に砂川くんはこつん、と自分のそれを軽くぶつけた。
「俺と付き合ってください」
「……!」
今度こそ、ぼろぼろと勢いよく涙が零れた。
好きな人と、気持ちが通じるってこんなに幸せで、こんなに胸が苦しくなるくらいいっぱいになるんだ。
言葉にならなくて、首をただ上下に何回も動かす。
「……これからも、よろしくね」
「こちらこそ」
これからいろんなことがあると思う。
楽しいことばっかりじゃなくて、喧嘩したり、思うようにいかなくて涙することもあるかもしれない。
だけど、その度に素直な気持ちをぶつけて
私たちなりに答えを見つけていこうね。
たとえ、どんな未来が訪れたとしても、きっと後悔はしないよ。
きみのことを好きになったこと。
人生に一度の初恋をきみに捧げたこと。