素直になれない、金曜日

月曜日の秘密

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柔らかな春の日差しに目を細める。

桜の花がひとつ残らず散り終えてからというもの、急に暖かくなった。




まだその気温の変化についていけず、僅かに顔を顰めて。

カーディガンなんか着てくるんじゃなかった、と心の中で呟いた。





ブレザーの下に重ねたカーディガンは必要以上に保温効果を発揮していて、むしろ鬱陶しく感じる。




5月初旬。そろそろ見慣れてきた何の変哲もない住宅地の中をひとり、先を急いでいた。





行き先は、保育園。
そこで待っている妹を迎えに行くためだ。




両親が多忙で夜遅くまで帰ってこないことが多い我が家では、必然的に妹───葵依を迎えに行くのは俺の役目だ。





それに、年の離れた妹というのはどうしたって可愛く見えるもので。

目に入れても痛くない、という気持ちもわからなくはない。





だから葵依の入園と同時に俺が高校に入学して、それからはじまったこの日課が苦痛だと思ったことは未だない。





ただ、同じような毎日の繰り返しに飽き飽きしてしまうことには抗えなくて。




同じ時間、同じ景色、同じことの繰り返し。





先月幕を開けた高校生活は、思っていたよりも単調で────つまらない、と一蹴してしまえばそれまでのことになってしまうのだが。




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