素直になれない、金曜日
友だちが一人もいなかったわけじゃない。
それなりにみんなと仲良く過ごしていたけれど、自分から『一緒に組もう』って言える勇気がないだけで。
うだうだしている間に、みんなペアを作ってしまって、いつのまにか最後の一人になってしまうんだ。
────今回だって、例外じゃない。
無意識に俯いていた顔を上げると、もうみんな二人組を作り終えていた。
いつものことだから、もう慣れたけれど……それでもやっぱり息苦しくなる。
誰にもわからないように、柔く唇を噛み締めたとき、他のクラスの女の子が遠慮がちに口を開いた。
「あの……、もう皆ペア決まっちゃったみたいだから、隣に座ってる男の子と組んでもらってもいい?」
「あ……えっと」
ちらり、と横目で男の子の様子を伺う。
だけど、彼の表情はまさに “無” で、そこから感情を読み取ることはできなかった。
女の子が言ったように、もう皆二人組を作り終えている。
きっとペアが決まっていないのは、私と彼のふたりだけ。
それなら、私と隣の彼がペアになるのが一番スムーズなのはわかっている。
わかっているし、私はそれでいいけれど───
彼はいいのだろうか。
私なんかと一緒に当番をすることになっても。
私といたって、楽しくも面白くもないことはわかりきっている。